私は学生時代に、6年間クラシックバレエをやっていました。振り返ると色々な思い出があるのですが、特に印象に残っているのが衣装のお話です。バレエの世界でよく見る舞台衣装は通称チュチュと呼ばれており、クラシックの場合はクラシックチュチュというものを基本的に着用します。私は身体の成長に合わせて複数のものを着用してきましたが、いつもこれを着る度に気持ちが引き締まり、幼心ながら頑張ろうと思っていたものです。
このチュチュの面白いところは、振り付けによって微妙にデザインや使われている素材が変わることです。恐らく客観的に見ている人からすると、踊り手の好みや要望に合わせてデザインしているのだろうと考えている人も多いかと思います。私もある程度は自分なりの要望があったのですが、毎度先生の方からもアイデアを貰いながらどういう踊りをするのかの振り付けを最大限に意識して衣装選びを行っていました。

チュチュはフランス語でお尻という意味がありますが、正直なところ初めて着用したときは背中もすごく開いていますし恥ずかしかったです。スカートは面積が広くふわっとしていて可愛いのですが、上半身のボディラインがとても強調されますし圧迫感もあって慣れるまでに時間が掛かったのを覚えています。補正用のボディスーツを着ていると言えば、解りやすいかもしれません。体型の変化が起こるとその分だけ衣装を通して自覚しやすく、食生活に関しても全く油断できない日々を過ごしていました。筋肉をつけ過ぎるのも良くないと言われていましたし、スタイル維持の大変さを教えてもらったことも今では懐かしいです。
下着事情も、なかなかに大変でした。最初はキャミソール状のバレエファウンデーションを着用していたのですが、デザインの変遷と共にヌーブラや専用のショーツなども活用するようになりました。色はベージュばかりで外から視覚的に判ることはなかったと思いますが、思春期に入るとあまり下着を着けているような感覚のないこれらのものにやや抵抗感を覚え、何とかならないかと思案していた時期もあります。
しかしチュチュには様々な種類があり、視覚的に可愛さや美しさを味わう楽しみ方もあるため、よく仲間たちの衣装を見ていいなと感じたり辞めてからもそういう注目の仕方で自分なりに楽しんでいました。
ちなみに私はMarie Taglioniに憧れており、よく彼女の肖像画や振り付けを見てモチベーションを上げていました。歴史上でも素晴らしいダンサーは沢山存在しますが、是非興味のある人は一度調べてみてほしいです。