“演舞中の他に練習中にも数多く高くジャンプしたり長時間にわたってつま先立ちをし続ける特性上、バレエは足の障害が発生しやすいですし生じる障害の種類も多いです。
特にジャンプによって飛び上がったり着地するといった動作を繰り返し行った結果、足の指における付け根に障害が生じる事があります。障害が生じると足の指の関節が脱臼した状態になるのですが、ダンサーの場合はジャンプや着地といった理由の他にトゥーシューズによる外反母趾がきっかけで生じる事も少なくありません。脱臼した状態になっている事が確認された際には整復を行い、整復が完了した後はテーピングを使用して固定するといった保存治療が行われます。整復後のテーピングによる固定で完治する事が多いものの以後も不調を覚えるのであれば外科手術が行われ、外科手術を行うと足の障害による不調が解消しトゥーシューズやハイヒールなども着用できるようになります。
バレエによって足の指における付け根に障害が生じた時に大切なのは重症化してしまわないように早めに練習を控えたり、テーピングで固定し保存治療に努める事です。また、バレエはまだ身体が柔らかくて柔軟性に長けている子供の方が表現力が身につきやすい事に加え、能力も高めやすい様子から年齢が低い頃から習い事として始める方も多いですが、子供や成長期の方に多いのがオスグッドという足の障害です。オスグッドは、ジャンプなどを行う時に大腿四頭筋に繰り返し力を込める事によって膝の下部のすねの辺りが盛り上がってくる症状です。
既に骨が強固なものになっている大人には見られる事例が少ないですが、成長段階にあってまだ骨が柔軟な子供には見られる事が多いため、膝の下部のすねの辺りが盛り上がってきている様子であればレッスンを控えるようにしつつ、大腿四頭筋に集中して力を入れすぎないようにもしましょう。
そして、バレエではつま先立ちをする機会が多かったりジャンプをした時に足の先まで美しく見せるべく、足の裏にある筋組織を活発に繰り返し動かします。日常生活においても足の裏にある筋組織は歩行時などに動くものの、バレエでは尚一層動かす機会が多い上に可動域も広いので筋組織に大きな負担が生じ足底筋膜炎が起こる事があります。足の裏の踵に近い部分に痛みが起こる足底筋膜炎という足の障害になると、足首から先が動かしにくくなったり痛みを伴うようになり演舞のみならず日常生活も不便になります。足底筋膜炎と診断された場合は初期段階なら安静に過ごす保存療法が行われ、症状が重くなると注射を使用したり装具を着用した対策が行われます。”